無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
それは、ようやく西野を忘れられようとしていた時に、突然やってきた。
──────テスト1日目。
開始のギリギリまでロッカーの前で鈴ちゃんとノートを見返していて、監督の先生が教室に入ってきたのを合図に、私たちは自分の席についた。
「いいかー、机の上にはシャープペンと消しゴムだけだからな。チャイムが鳴ったら、私語一切禁止」
そこで私は、あることに気づいた。
机の上に、シャープ芯の詰替えケースがないことに。
どうしよう、ペンケースに入れたままだったかな?
ちゃんと準備してた気がするけど……。
ロッカーにとりに行こうかとも思ったけど、皆が静かに座ってる中で1人席を立つのも恥ずかしくて。
昨日の夜、シャープペンのなかに芯を3本くらい入れたのを思い出して、まあいっかと諦める。
1時間くらい、絶対もつよね。
そんな呑気な気持ちで、開始のチャイムを待ってたのがいけなかった。