無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「はじめ!」
と声が響いた瞬間、シャープペンを持って。
まずは名前を書こうと上のほうをノックした──────にも関わらず。
……あれっ?
もう1回、カチカチ。
背中がひやっと寒くなった。
──────芯が出てこない。
まさかと思って、再びノックするけど、結果は同じ。
嘘でしょ?
教室に響くペンの摩擦音に、焦りがつのった。
昨日のことを思い返してみる。
確かに、いや、絶対、芯を入れた。
そして、芯の詰替えケースも……。
さっき、確かに机の上に置いたんだ。
床を見てみるけど、落ちてない。
──────誰かが、芯を抜いた?
そして、詰替えケースを隠して……。