無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
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「利奈、テストいけたあー?」
終わってすぐ、鈴ちゃんに声をかけられた。
「う、うん。なんとか!」
……西野のおかげで。
心の中でそう言いながら、そっと隣を見る。
「なんかぼうっとしてるけど大丈夫~? テスト最終日は利奈の誕生日なんだし、もっと明るくテキトーに頑張ろうよっ」
「あ、うん。そうだよねっ。誕生日はあんまり関係けど」
「えーなんで? 誕プレ用意してるから、期待しててよ~」
そんな会話をして、鈴ちゃんは自分の席に戻っていった。
私はこっそり、西野に向き直る。
「西野、さっき、ありがとう」
おずおず声をかけると、西野が振り向いた。
差し出したシャープペン。
西野は、受け取らず。
「テスト終わるまで持っとけば」
そう言って、男子の輪の中に入っていった。