無気力オオカミくんは、私だけに夢中。



会話を聞きながら、頭の中は妙に冷静で。


やっぱりか…って、少し笑えた。




でも笑えたと思ったのはその一瞬だけで、次の瞬間には涙がじわっと滲み始める。




「本命彼女つくったなら、もう遊んでもらえないかなー」

「当たり前でしょ。今や、女の子の誘いはことごとく断ってるって話だし」

「もう声かけたりできないね」



鼻をすすりながら歩きだす。



「せめて西野センパイだけは、みんなの観賞用でいてほしかったな」




最後に聞いたそのセリフが、胸にちくんと針を刺した。



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