無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
──────そういえば、西野のシャープペン返しそびれた。
ずっとタイミングを見計らってたのに、西野は終礼に参加せずに帰ってしまったんだ。
聞こえてきた会話によると、「バイトがある」とかで……。
また月曜日、改めて返そうかな。
雛子ちゃんと付き合ったって話を聞いてから、おめでとうも言えてないし……。
考え込んでたら、いつの間にかくつ箱に到着してた。
ローファーに履き替えるために、くつ箱のフタを開けて、手を伸ばす。
「……あれ?」
指先に、なにかが当たった感触。
ローファーじゃなくて、紙みたいな……。
のぞき込んでびっくり。
茶色の上品な袋が入ってた。