無気力オオカミくんは、私だけに夢中。





.



.





「すみません、西野くん、いますか……っ?」



自分に息を整える暇も与えずに、お店に入って、店員さんに声を掛けた。



「わあ、久しぶり~。息荒いね、大丈夫?」


幸いにも、カウンターにいたのは、この前と同じ、西野の友だちの人だった。



「遥日は今、接客中だよ」



店の中を見ると、奥の方に西野が見えた。

姿を見たとたん、急に話すのが怖くなってくる。




「……すみません、西野に、プレゼントありがとうって、伝えてもらってもいいですか?」

「え? 遥日、すぐ戻ってくると思うけど」

「っ、いや、顔を合わせたくないといいますか……。西野は彼女さんいるし、私がでしゃばるのも悪いなって感じで……」



店員さんはぽかんとした顔をする。



「遥日は誰とも付き合ってないよー?」

「んえ?」



この人、雛子ちゃんのこと知らないのかな?


< 322 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop