無気力オオカミくんは、私だけに夢中。



「……なんで来たの」

「……うう、」

「……」

「……」

「とりあえず、こっち来な?」



西野がぐいっと手を引っ張った。

連れて行かれる。

この前と同じ部屋。



扉をしめたら、二人きり。




「なんで泣いてんの?」

「……にしの、雛子ちゃんと付き合ってないの?」


「……」

「なんで、プレゼントくれたのっ?
あと、嫌がらせなくなったのも、西野が助けてくれたの……? シャープペンも……うぅ、っ」


「落ち着いて。文脈おかしいし、まとまりなさすぎ」



トントン、と優しく背中を撫でられる。



「優しくしないで……」



女たらし。

慣れてる。

思わせぶり。



「こーいうの、みんなに、してるんでしょ」

「してないよ」

「嘘だ、」

「ほんと。……俺が優しいのは利奈にだけ」


< 324 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop