無気力オオカミくんは、私だけに夢中。

顔がどんどん近づいてきて、ドンドンと心臓が鳴り響く。
周りの音なんて、なんにも聞こえない。



「あの……近いよ……っ」



逃げようにも、西野くんが上に乗っかってるから身動きが取れない。
このままだと色々バクハツしちゃう気がする。

体温が急上昇して、50℃とかなっちっちゃうかも。

そんなのありえないってわかってるけど、それくらい熱くてクラクラした。




「その恥ずかしがってる顔好き」


首筋をツーっとなぞられる。


「やっ……」


これは非常にまずい……。
西野くん、手慣れすぎてて怖い。
まんまと毒牙にかかってしまう。



リボンを解こうと伸びてきた手を、慌てて阻止した。



「だ、だめ……」

「……なんで?」



この人を好きになったら困る。
女の遊びが激しいクズ男。
泣かされた子、数え切れないくらいいるって……。



傷つきたくない気持ちが先走って、
つい、うっかり。




「私、好きな人がいるから……」



──────取り返しのつかない嘘をついた。


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