無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
口の悪いオオカミ


.

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「さっきはよくも逃げたね」



終礼間近になってようやく教室に現れた西野くん──────西野は、なんだか疲れ切った顔をしていた。

3限目から今まで、いったい何をしていたのかと思えば。



「見て。利奈のせいでスマホの充電切れた」



真っ暗の画面を見せつけられる。
さっきのことなんか忘れた、みたいにして普通に話しかけてくるから戸惑いを隠せない。



「ずっとスマホいじってたの?」

「うん」

「なんで私のせいなの?」

「利奈が俺を置いていくから」



……いや、意味わかんないし。
まさか、ずっとあそこにいたわけじゃないよね。

ていうかあんなに迫っておいて、なんで平然としてられるの?

こっちは意識せずにはいられないし、今も、顔赤くなってないよね?とか色々考えちゃうのに。



ふいっと目をそらした直後、


「遥日~いる?」


黒板の方から甘ったる~い声が聞こえてきた。
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