無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「今日も陸人くんと帰んの?」
「え……?あ、いや、陸人は今日は部活だから、鈴ちゃんと帰ろっかな」
「ふーん、そっか。気をつけてね」
そして、大きな手が、頭をポン……。
しばらく思考が停止した。
時間差で、ボッと顔が熱くなる。
顔を上げたときには、西野は雛子ちゃんと教室を出ていってしまっていた。
なんかうるさい音が聞こえると思ったら、自分の心臓の鼓動。
ドッ、ドッ、ドッ、ドッ、って。激しすぎ。
落ち着け落ち着け落ち着け。
西野遥日は慣れてるだけ!
みんなにやってる!
雛子ちゃんへの態度が冷たかったことには驚いたけど、たぶんあれは、気心知れた仲だから……ってことだよね?
こんなことを考えてしまう時点で、もう遅いのかも。
西野遥日にドキドキしないなんて……無理だ。