無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「西野くん私の名前、ふつうに呼んでくるんだけど……」
お前って言われた覚えもないし、それどころか初対面でいきなり下の名前で呼び捨てられたような。
「え~?それ空耳だったんじゃない?」
鈴ちゃんは目を丸くする。
いじわるで言ってるんじゃなくて、ほんとに驚いてるって感じ。
「あー…でもそういえば~。今朝、利奈といたときの西野くん、ちょっと笑ってたよね」
「そうだったっけ。あの人、意外によく笑うんだよ」
いつも無気力、無表情ってイメージだったけど、思ってたよりも笑うし、優しい表情をする。
「え~なんかすごーい。西野くんって女の子の前じゃ笑わないって有名なのに。利奈、気に入られてるんじゃない?」
「いや……。笑わないって、それはさすがに大げさでしょ」
「大げさなんかじゃないよお。男友達といるときは楽しそうにしてるけど、相手が女の子になったとたん、ガラッて態度変わるんだから」