無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「じ……じゃあ、私はそろそろ、このへんで」
西野から一歩身を引くと、はあ?と顔をしかめられる。
「なに言ってんの。行き先同じでしょ」
「そうだけど、西野と並んで歩くと目立つから」
「意味わかんな。利奈はいつも陸人くんと歩いて目立ってんじゃん」
「それとこれとは、また話が違うというか……」
パシっと手をつかまれた。
「利奈」
「う……ん?」
無表情すぎて心は読めないけど、引きとめられてることに間違いはなくて。
振り払うこともできず、触れた部分がだんだん熱くなるのを感じる。
「この手はなに?」
「繋いどかないと利奈逃げそうだし」
「う……だって、女の子の視線が痛いんだもん」
「だったら裏門から入る?」
「いや、そういう問題じゃない……」
そうしているうちに、西野は私の手をとったまま歩きだしてしまった。
足の指先でブレーキをかけるけど、引っ張る力が強いからちっとも利かない。
西野遥日にずるずる引きずられてる私。
余計に目立っちゃう。