無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
これは……私はもう、いなくもいいよね?
西野の手の力が緩んでることに気づいて、今のうちだと手を離しかけると。
「あのさ」と、西野の声。
反射的に見上げたけど、西野の目は私じゃなくて、可愛い女の子のほうに向けられてた。
それこそ恥ずかしくなって、一刻も早くこの場から逃げ出したい衝動にかられる。
だけど……。
「昼はいいって言ったけど、俺は今、利奈と歩いてんだよね。見てわかんない?邪魔だって」
放たれたセリフに絶句する。
そこで初めて、可愛い子と目が合った。
「え……あ、ごめんなさい」
その子が傷ついた顔をしたから、思わず。
「あ、謝らなくていいよ……!私と西野くんは何でもないし、ぜんぜん邪魔じゃないから」
そう言って手を振り払うと、西野はちょっと睨んだ目で私を見た。
「なんで利奈が返事するわけ」
だって、この子が可哀想じゃん。
西野、顔だけは本当にかっこいいけど……。
「今の言い方はさすがにナイから。女の子の気持ち、らちょっとは考えなよ。西野は口、悪すぎ!」
そう吐き捨てて校門へとダッシュした。
ああ…またしてもやってしまったと、頭を抱えながら。