無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
キス魔なオオカミ
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今朝、あんなやり取りをしたから、てっきり西野はサボると思ってたけど、
朝のホームルームが始まる前には、何食わぬ顔で隣に座ってきた。
1限目なんだっけとか、他愛もない話題を振ってきて、私は冷静をよそおって受け答えをする。
……ふつうすぎる。
それから授業が始まっても、西野は教室を出ていくことなく、ちゃんと椅子に座ってノートを開いた。
そして驚くことに、真面目に板書を写していた。
「西野って案外、真面目なの?てっきり寝るかと思ったのに」
思わず話しかけると、目を細めて小さく笑う。
「案外って、なにそれ。授業出るからにはちゃんと受けるよ。じゃないと時間のムダでしょ」
「へぇ、そっか……。じゃあ毎回、休まずに出ればいいのに」
「気分ってのがあるじゃん?」
しっかりしたこと言ったかと思えば、やっぱりテキトーだった。
そうだそうだ。
この人って気まぐれだった。