無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
4時間目まで真面目に授業を受けた西野は、チャイムが鳴ると同時、だるそうに背伸びをして席を立った。
「西野ー、メシ」
クラスの友達が声をかけると、「今日はパス」と手を上げる。
「はあ?また女か~?」
その問いかけを無視して教室を出ていった。
……ああそっか。
昼休みは今朝の可愛い子と約束してたんだもんね。
無意識に、西野の背中を目で追ってた。
そんな自分にハッとして、首をぶんぶん横に振る。
私には関係ない!
モヤっとなんか、してない……。
教科書を机の中にしまって、カバンからお弁当箱を取りだす。
しばらくすると、鈴ちゃんがいつものように私の席までやってきた。
「西野くんの机、借りちゃお~っと」
鈴ちゃんが西野の机を引いて、私の机にコツンとくっつけた。
「大丈夫だよね~?本人戻ってきたりとか、しないよね」
「うん。西野……くん、今日は可愛い子と約束があるみたいだし」
「へえ~。さすがだねぇ」
お弁当の包みを開けて、二人でいただきますをする。
お箸を持ったタイミングで、教室の前の戸が開いた。
誰かと思えば、担任の先生。