無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「早めに職員室に行ってね。……じゃあ、そういうことだから」
屈んだ姿勢を直して立ち去ろうとすると、制服のすそを引っ張られた。
「俺、なんで呼び出されたの?」
「知らないけど……お説教じゃない?」
「えー。なんか悪いことしたっけなー」
「しまくりでしょ。授業さぼるし、髪明るいし、制服着崩しすぎだし。……それに今だって女の子と……」
ふしだらなことしてたんでしょ……と言いかけてやめた。
ゴホン、と咳払いをする。
「女の子と……なに?」
「や、なんでもない……」
「利奈、いつから見てたの?」
「見てないよ」
「見てたから隠れたんでしょ」
「……ちょっとしか見てない……」
本当だよ。
西野の背中を見た瞬間、察して目を逸らしたもん。
「俺が気づかなかったら、ずっと覗いてるつもりだった?」
「っ、そんなわけないし!私、ほんとに見てないからね……。邪魔したらダメだ思って教室に戻ろうとした途端、あの女の子に見つかっちゃったんだってば」
ふーんと、西野は興味なさげに相づちを打つ。