無気力オオカミくんは、私だけに夢中。

そしてなぜか、私の制服から手を離そうとしない。



「利奈、昼メシ食った?」

「え……まだだけど」

「俺も腹へったなあ」

「ご飯食べないで女の子と会ってたのは誰なの?」

「……職員室だるい」



いよいよ会話が噛み合わなくなってきて頭を抱える。

そんな時、すぐ横にある非常階段から、なにやら楽しそうな話し声が聞こえてきた。


カン、カン…と二人分の足音が近づいてきたかと思えば、私たちの前に姿を現すことなく、その音は途中で止まって。


なんだろう、と不思議に思った矢先。



「ダイキ先輩、こんなとこに連れてくるなんて大胆~」


甘えたような女の子の声が響いた。
どうやら、踊り場で話してる様子。



「会いたかったよ~。学年違うと、ぜんぜん会えなくて寂しい」

「ん。オレも会いたかった。午後からの授業も頑張れるように充電させて?」



カップルだなって分かる会話。
それにしても、聞いてるこっちが恥ずかしくなってくる。

充電って……。


くすぐったくなるような甘いセリフだけど、素直に憧れるかも。こういうラブラブな関係……。

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