無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
聞き耳を立てていると、くいくいっと2回、西野がすそを引っ張ってきた。
顔を近づけて、小声で話しかけてくる。
「なにウットリした顔してんの」
「え?いや……ウットリっていうか。ラブラブなの、いいなーと思って」
「へぇ。利奈、ああいうのが好きなんだ。俺で充電する?」
「……っえ!?」
大きな声を出しかけた私の口を、西野が片手でふさいだ。
「シー。俺たちがここにいること知られたらまずい。あっちは、二人きりの気でいるんだから」
いや、たしかにそうだけども。
西野に触られたら、声よりも心臓のほうがやばいというか……。
これ恥ずかしい。
顔が熱くなるし、ドキドキしてるの西野にバレちゃう。
西野の手から逃れようと首をねじった。
「西野は、早く職員室行かないと……」
「でも今動いたら、そこのカップルの邪魔するかもしんない」
「そんなこと言ったって、私ずっとここにいるのイヤだよ。早くお弁当食べたいし」
「えー。俺は利奈とならいいんだけど」