無気力オオカミくんは、私だけに夢中。


西野の手が私の背中に回ってる。
すぐ目の前に西野のネクタイがある。
布越しにほんのり、西野の体温を感じる。


無意識に呼吸を止めてしまう。首のあたりからぐぐっと熱いものが広がって頭に到達すると、クラクラめまいがした。



「……西野、これは何?」

「充電。……って言うの、クソ恥ずいね。カップルみたい」

「う、……え……」



しどろもどろ。
次のセリフ、ぜんぜん出てこない。
西野、離れようとしない。

“カップルみたい”って?

からかってるのはわかるけど。

西野は……私なんかで充電できるの?




「に、西野……。離れてくれないと、私、こういうの慣れてないから、心臓バクハツする……」


くくっと喉で笑われた。


「爆発って。軽く抱きしめてるだけなのに」

「……西野、いつもこういうことしてるの?」

「してないよ」

「……絶対嘘じゃん」


軽く睨んだら、にっこり笑顔が返ってきた。
遊び人、こわい。

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