無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
唇に柔らかい感触。
驚いて目を見開いても焦点が合わない。それだけ近いってこと。めちゃくちゃ近すぎる。
うん……そりゃそうだ。
だって西野の唇が、
私の唇に重なってるんだもん──────。
そっと熱が離れると、やっとピントが定まって視線が交わった。かと思えば、また、すぐに暗くなってぼやける。
「……っ」
最初は表面をなぞって、それから上唇を甘噛み、離して、次はさっきよりも深く……。
「肩の力抜いて。あと息も止めなくていい」
耳元で囁かれる西野の声をぼんやりと聞いた。
初めはカチコチだった体も、西野がなだめるように片腕で抱きしめると自然と力が抜けていった。
熱くてたまらない。
頭の芯がビリビリ痺れて、他のことなにも考えられない。
息苦しかったはずかのに、いつのまにかふわふわ浮いたような感覚になってる。重力すら奪われた気がした。
「ん……ぅ」
酸素が薄くなったのか、西野の甘さに脳が限界を迎えたのか。
ふっと力が抜けて、膝からガクン。
崩れ落ちそうになった私を、西野がぐいっと引き上げた。