無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
利奈がわるいってなに。
西野のほうが、断然わるいのに。
触れた部分から熱が広がる。
毒が全身に回るみたいに、甘くしびれる。
毒針、いったいどこに隠してるの。
何度目かわからないキスを受けながら、ぼんやりと考えていた。
西野が慣れてるのがやだ。
慣れてるのがやだって思う自分がやだ。
西野遥日の“特別”を意識してしまう自分がやだ。
西野にとっては?
ただがキス?
暇つぶし?
遊び相手?
西野遥日にまんまと溺れる自分がこわい。
私をこんなふうにさせる──────西野がこわい。