無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
相変わらず受け答えはそっけないけど、普通に仲がいい話し方に聞こえた。
西野も雛子ちゃんも、相手の態度に慣れてるって感じ。
思わず立ち止って2人を凝視してしまう。
ふいにこちらを見た西野と目が合うと、反射的にひきつった笑顔ができた。
「利奈じゃん」
「う、うん」
返事をしながら一歩退く。
西野の隣から痛いほどの視線を感じたから。
「じ、じゃあね!」
鈴ちゃんの腕をぐいっと引っ張って大股歩き。
自然を意識しすぎて不自然になってしまった。
「あの2人が並ぶと絵になるね~」
昇降口に着くと、鈴ちゃんは感心したようなため息をもらした。
「うん、ほんとに。美男美女……」
華やかな雰囲気。圧倒的オーラ全開。
頭の中に2人の顔を思い浮かべると、胸の中にもや~っと重たいものが広がった。
なんていうか、劣等感。
雛子ちゃんの顔を私に置き換えたとたん、“お似合い”の文字がガラガラ崩れ落ちる。