無気力オオカミくんは、私だけに夢中。

顔を上げると、校門に寄りかかる一人の影が。


うちの学校のものじゃない制服を着た彼は、こちらに気づいて手をあげる。


初めて見る顔だけど、一瞬にしてピンときた。




「えっ……!?」



声を上げた鈴ちゃん。
びっくり仰天したのち、すごい勢いで彼に駆け寄っていく。




「なんでっ?駅で待ち合わせのはずじゃ……」

「学校早めに終わったから迎えに来た。これで、いつもより長めにデートできるな」




彼氏さんの甘~いセリフに、私までとろけちゃいそう。

鈴ちゃんは彼氏さんに抱きついて、彼氏さんは優しい笑顔で頭をナデナデ。



幸せオーラに気圧された。

カップルってすごい……!



鈴ちゃんと駅までいっしょにいく予定だった私は、慌てて一歩退いた。



「鈴ちゃん、またね」


部外者はそそくさと消えなくちゃいけない。



「利奈、ごめんね~。気をつけて帰るんだよ」



うなずいて背を向けた。

しばらくして後ろを振り返ると、仲良さそうに手を繋いで歩く2人の姿が見えた。

< 74 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop