無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
顔を上げると、校門に寄りかかる一人の影が。
うちの学校のものじゃない制服を着た彼は、こちらに気づいて手をあげる。
初めて見る顔だけど、一瞬にしてピンときた。
「えっ……!?」
声を上げた鈴ちゃん。
びっくり仰天したのち、すごい勢いで彼に駆け寄っていく。
「なんでっ?駅で待ち合わせのはずじゃ……」
「学校早めに終わったから迎えに来た。これで、いつもより長めにデートできるな」
彼氏さんの甘~いセリフに、私までとろけちゃいそう。
鈴ちゃんは彼氏さんに抱きついて、彼氏さんは優しい笑顔で頭をナデナデ。
幸せオーラに気圧された。
カップルってすごい……!
鈴ちゃんと駅までいっしょにいく予定だった私は、慌てて一歩退いた。
「鈴ちゃん、またね」
部外者はそそくさと消えなくちゃいけない。
「利奈、ごめんね~。気をつけて帰るんだよ」
うなずいて背を向けた。
しばらくして後ろを振り返ると、仲良さそうに手を繋いで歩く2人の姿が見えた。