無気力オオカミくんは、私だけに夢中。


こういうとき、独り身の私って寂しいなあと思ったり思わなかったり。

気になる相手は遊び人のクズだし、なんか色々恵まれない……。



とぼとぼ歩いて駅に向かっていると、ふいに誰かから肩を叩かれて。



「お嬢さん、一人ですか?」

「ひぇあ……っ!?」



ナンパ?
不審者?


とにかく絶対ヤバイ奴だと思って心臓が飛びあがった。



「私……い、忙しいのでスミマセン……」



反射的に頭をペコペコ下げる。

すると、真上から吹き出すような笑い声が落ちてきた。



「予想以上の反応ありがとう」



そう言って私の頭に手を乗せてきたのは……



「えっ、西野?」


さっきの鈴ちゃんと同じくらいびっくりした。


……え。なんでここにいるの?


戸惑ってる私の隣に、当たり前のように並んでくる。




「利奈ちゃん、歩くの遅すぎやしません?俺、ふつうの速さで歩いてきたんだけど」

「え? う……考えごとしてたからかな……」

「へえ。悩みとかなさそーな顔してんのに」

「な……それは失礼すぎ」



主にあなたのこと考えてたんですけど……。
< 75 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop