無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
こういうとき、独り身の私って寂しいなあと思ったり思わなかったり。
気になる相手は遊び人のクズだし、なんか色々恵まれない……。
とぼとぼ歩いて駅に向かっていると、ふいに誰かから肩を叩かれて。
「お嬢さん、一人ですか?」
「ひぇあ……っ!?」
ナンパ?
不審者?
とにかく絶対ヤバイ奴だと思って心臓が飛びあがった。
「私……い、忙しいのでスミマセン……」
反射的に頭をペコペコ下げる。
すると、真上から吹き出すような笑い声が落ちてきた。
「予想以上の反応ありがとう」
そう言って私の頭に手を乗せてきたのは……
「えっ、西野?」
さっきの鈴ちゃんと同じくらいびっくりした。
……え。なんでここにいるの?
戸惑ってる私の隣に、当たり前のように並んでくる。
「利奈ちゃん、歩くの遅すぎやしません?俺、ふつうの速さで歩いてきたんだけど」
「え? う……考えごとしてたからかな……」
「へえ。悩みとかなさそーな顔してんのに」
「な……それは失礼すぎ」
主にあなたのこと考えてたんですけど……。