無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「さっき、友だちと一緒じゃなかったっけ」
「ああ……鈴ちゃんは、彼氏さんが迎えに来てデートに行っちゃったんだよ」
「それで一人残されたってわけか。哀れだね」
気にしてたことを言わないでほしい。
今はけっこう傷ついちゃうから。
「笑いに来たんなら、どっか行ってよ……」
ドキドキし始めた胸をそっと抑えて、そっけなく言ってみる。
「俺そんなイヤな人間じゃないわ。てか、利奈はもう一人じゃないでしょ。俺が隣にいるんだから」
「え……」
見上げると、綺麗な瞳が細められて。
「カワイソウだから、駅につくまで俺が彼氏役やってやる」
太陽に当たったブラウンベージュの髪が、眩しいくらいキラキラ光って見えた。