無気力オオカミくんは、私だけに夢中。


「……っや、西野が彼氏とか無理!!」

「だからフリだって」

「フリでも、隣を歩かれたら……」




周りの視線とか痛いし、なにより私の心臓がもたないし。



「利奈ってほんと生意気」



左手をつかまれた。
ビリッと電流が走ったみたいになる。
逃げたら追いかけてきて、指を絡めてきた。



「ウッ……」

「う?」

「西野、なにすんの……」

「なにって……手繋いだだけ」

「これ恋人繋ぎじゃん……」



私は遠足以外で男の子と手を繋いだことがないんだよ。
手を繋いだだけでこんなにドキドキするなんて初めて知ったよ。



相手が西野だから?



「利奈」

「なに?」

「利奈も、ちゃんと手絡めてきてよ」

「え……」



西野の指先にきゅっと力がこもる。

う、あ……。


動揺しちゃだめ。周りの子は、このくらい平気でやってるんだから……。


思い切って、ぎゅっ。

力いっぱい握った。

< 77 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop