無気力オオカミくんは、私だけに夢中。


「ちょっと、寄りたい所あったの思い出した」

「へえ。どこ?」

「う……西野には関係ない」



男子にメイク道具とか、なんか恥ずかしくて言えないじゃん。



「今から行くの?」

「うーん。買うのはべつに今日じゃなくてもいいんだけど、どんなのがあるかだけでも見てみたいし」

「そっか。じゃあ行こ」

「うん。……って、え? 西野も行くの?」

「一人で行かせるの不安だしね」

「いや、子どもじゃないんだから」

「子どもじゃなくても女でしょ」



ウッ……。
やっぱり扱い慣れててこわい、西野。



「で、でも。私が行きたい所って、コスメショップなんだけど……」



ついには自分から吐いてしまうという始末。

ちょっとは戸惑うかと思ったのに、西野は慣れてるのか「分かった」のひと言で済ませた。



しかも

「近くにいい店がある」

なんて言いながら私を誘導していく。


いい店って……。

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