無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「西野もメイクとかするの?」
「はあ?」
「あ、いや……。今の時代、メイク男子って言葉があるくらいだから、しててもおかしくないかなあと」
「これが化粧した顔に見える?」
西野がしかめた顔を近づけてくる。
不意打ちのどアップ。
これでもかってくらい整ってて……
「見えません……。肌が綺麗で羨ましいです」
きめ細やかで、もはや毛穴どこ?って感じ。
「でも、いい店知ってるってことは行ったことあるんだよね?」
「まー……うん。ほんの数回」
ちょっと濁した言い方。
女の子とのデートだろうな……。
そう思ったけど、口にはしなかった。
西野が案内してくれたのは、ピンクの壁で囲まれた大きなコスメショップ。
色んな制服を着た中学生や高校生で賑わっていた。
みんな、バリバリにメイクを施してて怖気づいてしまったけど、ここまで来て引き返すわけにはいかない。
パッと見て、よさげなのあったら買おうかな。