無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
ファンデーションとかのベースメイクは、知識がないせいで見ただけじゃ判断できないから、今日のところは、ひとまずリップ。
唇に色がついてるかついてないだけで、だいぶ印象違うもんね。
じーっと見て、可愛いと思ったもののテスターを手の甲に塗ってみる。
ピンク系、レッド系、オレンジ系、ブラウン系……。
一つの系統でもたくさんの種類があってなかなか選べない。
しばらく悩んでいると、隣に西野がかがみ込んできた。
「うわあ。手の甲がえぐいことに……」
「あとでちゃんと拭くからいいの」
とは言いつつ、確かに試しすぎたかも。
赤い模様がいっぱいできて、もはやどれかどれだかわからなくなってしまった。
「いっぱいありすぎて選べない」
嘆く私に、西野がひと言。
「利奈はこれ」
迷いなく伸びた手の先には、ピンク系のリップ。
ピンクベージュって書いてある。
「可愛いけど、ちょっと地味っていうか……色薄くない……?」
「利奈には控えめなほうが似合うと思う。赤とかよりも、断然こっち」