無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
その色は、私の候補に入ってなかった。
西野がテスターで汚れてない方の手をとって、リップの先をつーっと当てる。
見てみたら思ってたよりも綺麗な色が出てて、びっくり。
控えめだけど上品。
上品だけど、大人っぽすぎず……。
よく見てみたら、小さなラメが入っててキラキラしてた。
「え、これ可愛いかも……」
「でしょ。利奈の肌に合うと思った」
西野がにこって笑う。
ああ、やばい。心の準備してなかったから心臓飛び出そう。
赤い顔を隠すように背けて、レジへと向かう。
そしたら西野、私を追いかけてきて。
「待って。俺が買いたい」
「え?」
私からリップを取り上げた。