無気力オオカミくんは、私だけに夢中。

え、なにそれ。

いつもそんな調子だったっけ。

違うよね。




「ピンクのリップ塗ってみたんだよ」

「うん。やけに色気づいてんなと思った」

「似合ってればいいんだけど……。ていうか、この色ひかえめだから、陸人に気づかれるとは思ってなかった」

「ふつうに気づくわ。何年一緒にいると思ってんの?」



ぽん、と頭に手を乗せてきた陸人。

“似合ってる”と、小さくつけ足して……。



「え。今日の陸人、ちょっと気持ちわるい!」

「はあ?なんだよ、褒めてやったのに」

「だって……なんか……陸人に女扱いされると慣れないっていうか……」



リップ塗っただけなのに、なんでいつもと態度が違うの?
リップの効果、そんなに絶大なの?



「女扱いとかしてねぇ。自惚れんな」

「や、今さっき私のこと女だろって言ったじゃん」

「生物学的には、って話」



頭に置かれてた手が、胸までおりてきた。



「体も貧相だし。もっと頑張れよ」

「ちょっ、どこ触ってるの!」

< 88 / 332 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop