無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
え、なにそれ。
いつもそんな調子だったっけ。
違うよね。
「ピンクのリップ塗ってみたんだよ」
「うん。やけに色気づいてんなと思った」
「似合ってればいいんだけど……。ていうか、この色ひかえめだから、陸人に気づかれるとは思ってなかった」
「ふつうに気づくわ。何年一緒にいると思ってんの?」
ぽん、と頭に手を乗せてきた陸人。
“似合ってる”と、小さくつけ足して……。
「え。今日の陸人、ちょっと気持ちわるい!」
「はあ?なんだよ、褒めてやったのに」
「だって……なんか……陸人に女扱いされると慣れないっていうか……」
リップ塗っただけなのに、なんでいつもと態度が違うの?
リップの効果、そんなに絶大なの?
「女扱いとかしてねぇ。自惚れんな」
「や、今さっき私のこと女だろって言ったじゃん」
「生物学的には、って話」
頭に置かれてた手が、胸までおりてきた。
「体も貧相だし。もっと頑張れよ」
「ちょっ、どこ触ってるの!」