無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
西野遥日は観賞用
「うわラッキー、1番いい席……。
そして菊本利奈ちゃん、さっきぶり」
私はあんぐり口をあけて、だるそうに机を引きずってきた人物を見あげた。
今日の5限目、ロングホームルームは、待ちに待った席替えの時間。
その結果は……。
「グラウンド側の一番うしろ。
2人で楽しーこと、いっぱいできるね」
よりによって、西野遥日の隣。
ていうか何? “楽しいこと”って……。
意味わかんないし。意味わかんないのに、なんか心臓が勝手にドキドキいってる。
「利奈ちゃん、なにヘンな顔してんの」
「り、利奈チャン? ヘンな顔……?」
いきなり下の名前で呼ばれるものだから、動揺して上ずった声が出た。
「俺の隣がイヤなのはわかるけどねー。決まったことはしょーがないから、仲良くしよ」
なんだか妖しい笑顔。
「ね、利奈ちゃん」
「っ!わかった……っ。でも、下の名前で呼ばれるのは、ちょっと……」