無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「う、あの……おはよう」
「……はよ」
低い声。
帰ってきたのはその一言だけ。
私がなにか言う暇もなく、西野は背を向けて歩いていってしまった。
え、感じわる……。
唖然として見つめていると
「ハルカー、歩くの早いよお!」
私たちの横を、今度はスカートを限界まで短くした女の子が駆け抜けていった。
走ったらスカートの中見えちゃうよ……。
ハラハラ見守っているうちに、その子は西野に追いついて、当たり前のように腕を絡めてニコニコ、楽しそうに話かけ始めた。
……ああ、なんだそういことね。
その子と一緒に登校してたんだね。
「相変わらずだな、西野は。てか、近寄る女子たちも懲りないよなあ、ほんと」
呆れ顔でつぶやいた陸人。
うなずくのがなんか悔しくて、唇を噛んだ。