無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
.
.
学校に着くと、速攻トイレに向かってリップを落とした。
西野にちょっとでも期待した自分が、すごい惨めに思えたから。
教室に入ったら、西野は男子たちの輪の中心でニコニコ笑ってた。
ものすごくモテて、女癖も悪くて、男子の反感を買ってもおかしくないはずなのに、どうしてか西野の悪口は聞いたことがない。
なんでだろ。
最強の人たらしなのかも。
朝礼が始まるギリギリまで友だちと騒いでた西野と話すことなく、1限目が始まった。
それから2限目、3限目と過ぎていって──────お昼休み。
ふらりと席を立った西野に声をかけることができないまま、机にお弁当を広げた。
結局、西野との会話はゼロ。
目が合った回数もゼロ。
話せないのは私が話しかけないせいだけど、西野は西野で、徹底して私を見ないようにしてる……気がする。