無気力オオカミくんは、私だけに夢中。



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学校に着くと、速攻トイレに向かってリップを落とした。

西野にちょっとでも期待した自分が、すごい惨めに思えたから。





教室に入ったら、西野は男子たちの輪の中心でニコニコ笑ってた。


ものすごくモテて、女癖も悪くて、男子の反感を買ってもおかしくないはずなのに、どうしてか西野の悪口は聞いたことがない。



なんでだろ。

最強の人たらしなのかも。




朝礼が始まるギリギリまで友だちと騒いでた西野と話すことなく、1限目が始まった。


それから2限目、3限目と過ぎていって──────お昼休み。




ふらりと席を立った西野に声をかけることができないまま、机にお弁当を広げた。

結局、西野との会話はゼロ。

目が合った回数もゼロ。



話せないのは私が話しかけないせいだけど、西野は西野で、徹底して私を見ないようにしてる……気がする。

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