無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
思い返せば、この前の別れ際から西野はフキゲンだった。
私に怒ってるのかな。
リップを買ってもらった日に、なにか西野が気に入らないことをしたのかもしれない。
性格は最悪で女子相手には笑わないらしい西野遥日。
これが通常モードと言われればそれまでだけど……。
キスしたくせに。
あのときの熱を思い出して悲しくなった。
一度甘さを与えれたら忘れられないし、絶対にないと分かってても、期待することをやめられない。
「利奈、手止まってるよ?」
鈴ちゃんに指摘されて、慌ててご飯にお箸を伸ばした。
あーもう。
西野のこと考えたたくないのに。
むしゃくしゃした気持ちで次々におかずを口へと運んでいると、ふいにクラスメイトの会話が耳に入ってきた。
「なあ。遥日のヤツ、どうだった?」
その名前にピクリと反応してしまう。