無気力オオカミくんは、私だけに夢中。
「やっぱ熱あったっぽい。38度」
「やば。ふつうに高くね。大丈夫なん?」
「だいぶキツそーだった。とりあえず様子見で、5限まで保健室で休むらしい」
えっ、西野熱あったの?
ずっと隣で授業受けてたのに気づかなかった。
そわっと身体が動く。
今日は、たしか保健の先生は出張だった。
健康観察表を出しに行ったときに確認したから間違いない。
「……西野くんのこと気になる?」
鈴ちゃんがニヤニヤした視線を送ってくる。
「いやいや、全然……」
「歯磨きしたあと、会いに行ってあげれば~?」
「へっ?だから私は……」
「そうだ。うち、昼休みに彼氏と電話する約束してたんだった~!」
わざとらしく手を叩いて立ち上がった鈴ちゃん。
ぽつりと残された私は、慌てて歯磨きセットを持ってあとを追いかけた。