罪作りな彼は求愛方法を間違えている
「そら、今日からここがお前の家だぞ」
なんていいながらキャリーの扉を開けたが、警戒しているそらくんが出てくるはずがない。
「ここに住むとか、婚約者だとか、どういうことなの?」
「どうもこうもない。そのままの意味だ」
スーツの上着を1人掛けの高そうな革のソファに無造作に投げ、ネクタイを緩めリラックス状態の彼が、私の頬を撫でた。
「お前は、俺が誰か知らないで会ってたろ。その間、俺の外見に色目を使ってくるわけでもない、ありのままの千花でいてくれたから、お前といる時間は、俺はただの高橋 斗真でいられた。妹のように可愛いがってたつもりが、いつの間にか俺の心で唯一の女だと意識しだしているって気がついたら、もう、止められなかった」
チュッと、瞼にキスされた時、嬉しくて溢れる涙を止めるのに必死だった。
「体を重ねても、素っ気ないお前が俺をどう思っているか聞くのが怖くて、甘やかして体で繋ぎ止める手段しか思いつかない。そのくせに、お前を抱いた後、大人ぶって素っ気なくしていたら、お前は、俺を避けるかのように留守がちになる。俺がどんなに恐怖を感じていたかわかるか?」
『わかんないだろう』っと、鼻先を摘まれ顔をしかめた。