罪作りな彼は求愛方法を間違えている
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「康太、酒くれ」

「はい、はい」

斗真は、グラスを俺の前にダンと音を立てて置くと、両手で顔を覆い項垂れている。

不機嫌丸出しの俺の気持ちに薄々気がついていた康太は苦笑しつつ、グラスにブランデーを注ぎ彼の前にコトンと音を立てて置く。

早々にグラスの中身を飲みきり、口元を手の甲で拭いって次のお代わりを催促する為に康太の前にグラスを差し出した。

「味わって飲めよ」

「味わってられるか。今は酔いたいんだ」

「来週には、千花も今日の事を忘れて普通に接してくれるさ」

康太のセリフに、俺は千花の前では見せない表情をし鋭い目で睨んだ。

「あんなに怒った千花を見たのは初めてだ。本気なのか?」

「俺に聞くな」

「男の影なんてなかったのに…クソ」

空になっているグラスを再び差し、注げと催促する男に、大きな勘違いをしていると説明するべきか一瞬だけ悩んだが、珍しく色恋に悩む目の前の男の姿に、これはこれで面白いとほくそ笑んでそらくんが猫だということはあえて言わない事にした康太に、からかわれてるとこの時の俺は知らない。

「お前、まるで嫉妬してるみたいだぞ」
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