罪作りな彼は求愛方法を間違えている
昔飼っていた雌猫は、とても可愛く愛嬌があり、とても俺に懐いていた。
だから、そらも手なづけるのは簡単だと思っていた。
最初こそ、俺に懐くそぶりを見せたくせに、奴に敵認定されたらしく、何かと邪魔をしてくる。
ほんと、可愛くない猫だ。
だが、千花のペットをむげにすることもできない。
だから、千花に隠れておやつをやり、今は手懐け中だ。
食後に風呂から出てくると、隠れていたそらが千花に甘えていて、千花も、デレッとしている姿がイラッとくる。
千花を取られた気分だ。
まぁ、いつものことなのだが、今日は一目散に自分のお気に入りの寝床に行き、俺の様子を伺っている。
可愛くないと思うのは、雄だからだろうか?
いつものように、リビングでブランデーを飲みながら、千花と晩酌していると、千花から相談があると言われた。
「あのね、私、仕事も辞めて家にいるでしょ。それなのにハウスキーパーさんが一日置きに来てたら、私のすることって洗濯ぐらいしかない。それだって、ほんのちょっとだし、斗真さんのお仕事用は下に持って行くし、時間がありすぎてつまんない」
「どうしたいんだ?」
「こんな広いところ、私だけじゃ掃除しきれないから、ハウスキーパーさんの助けはほしいよ」