罪作りな彼は求愛方法を間違えている
「はぁっ?俺が?あいつは妹みたいなもんだ。…だから、心配なんだよ」
どうやら無自覚のようだ。
勘違いしていると誤解を解くのは簡単だが、他人からとやかく言われると素直になれずに拗らせる傾向があるこの男をどう導いてやろうかと考える康太。
今までの恋愛では、寄ってくる女には興味は持てず、自分から気に入った女を落とするまでが恋愛だと思っている残念な男なのだ。
だからこそ30を過ぎて無自覚に恋してる事に気がついていない残念な親友の為に、自覚するきっかけぐらいは与えてやろうと行動を起こす事にした。
「心配だよな…会って数日なのに一緒に住むなんて」
そのセリフが気に入らなかった俺は、胸の奥でモヤモヤする行き場のない苛立ちのほこ先を康太に向けた。
「はぁっ?数日で同棲…そいつをよく知りもしないで同棲なんて、千花はバカなのか!お前も、知っていたなら止めろ」
「止めろって言われてもな…一緒に住む事になったって事後報告だし、まぁ、あいつもいい大人だ。見守ってやろうぜ」
「そらって、どんな奴なんだ?そもそもロクでもない男を千花に紹介する考えなしのお前に呆れる」
「訂正しておくが引き合わせたの間違いだからな…」
「そんな事はどっちでもいい。早くお前の知っている情報を出せ」