罪作りな彼は求愛方法を間違えている
そして週末を部屋の中でそらと過ごし、そらくんは私を要注意人物から少し格上げしたらしく、気が向けば向こうから足にすり寄って来たり、膝の上に乗ってきたりと距離を縮めてきたように思う。
一緒に過ごしたここ数日を振り返った私はルームウエアに着替え、そろそろ沸いたであろうお湯に晩ご飯となる冷凍うどんを投入するべくキッチンへ行く。
茹であがるまでの時間をお鍋の前で待っている間、今日の高橋さんとのやりとりをふと思い出し自己嫌悪に落ち、持っていた菜箸の先を無意識に歯で噛んでいた。
あー、なんで思い出すかな⁈
なんであんな事言っちゃたんだろ…
いやいや、コウ兄とのあの会話で勝手に勘違いしたのは高橋さんだし…
そうよ。
私は、一言もそらくんが人間だなんて言ってないもん。
それなのに勝手に勘違いして説教臭く言うから、こっちもつい、ムキになっただけだ。
私は、悪くない、うん、悪くない。
どんなに正当化しても大の男が謝り、しょんぼりする姿は後味の悪さを残していて、脳裏から消えずにいる。
「あー、斗真のおたんこなす」
私が、後ろめたさを忘れるように大きな声をあげたら、うどんは丁度美味しそうに茹って汁が吹きこぼれそうになる。