罪作りな彼は求愛方法を間違えている

ぬるくなったビールグラスを手に持ち、他人事のように2人のやり取りを見ていた私をよそに、話は進んでいく。

「千花もだ。飲みたきゃ今日は千花ん家で飲め」

「それいいな、近くにコンビニあったか?」

「こっちに来る前に1つあったろ」

「あー、あれ!酒屋じゃなかったのか?」

「一応、コンビニだ。必要な物は揃ってるだろ」

「なら、寄ってから帰るぞ」

勝手に私の分も支払いを済ませ、コンビニに寄って一緒に家まで帰ることが決まってしまう。



あんなに悩んでいたのに、厳禁な物だと自分自身呆れつつ、ずっと繋がれた手に、もう…と頬を膨らませていても、内心は嬉しくて仕方ない。

コンビニに寄り、食べ物やアルコール類をあれこれと2人で選んだ後、ペット用品前で足を止めた私と手を離し、ふらっと店内のどこかへ行ってしまう。

彼の方から、そらくんにおやつでもと言ってきたのに、一緒に選んでもらえない事に寂しさを感じていたら、会計を終わらせたレジ袋を手に持って彼は戻って来た。

「決まったか?」

「あっ、うん…もう会計したんだ。半分出したのに」

「大した金額じゃないから気にするな。ほら、これと一緒に買って来い」

高そうな猫缶とおやつを選んだ彼にお金を渡される。
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