罪作りな彼は求愛方法を間違えている
ぬるくなったビールグラスを手に持ち、他人事のように2人のやり取りを見ていた私をよそに、話は進んでいく。
「千花もだ。飲みたきゃ今日は千花ん家で飲め」
「それいいな、近くにコンビニあったか?」
「こっちに来る前に1つあったろ」
「あー、あれ!酒屋じゃなかったのか?」
「一応、コンビニだ。必要な物は揃ってるだろ」
「なら、寄ってから帰るぞ」
勝手に私の分も支払いを済ませ、コンビニに寄って一緒に家まで帰ることが決まってしまう。
☆
あんなに悩んでいたのに、厳禁な物だと自分自身呆れつつ、ずっと繋がれた手に、もう…と頬を膨らませていても、内心は嬉しくて仕方ない。
コンビニに寄り、食べ物やアルコール類をあれこれと2人で選んだ後、ペット用品前で足を止めた私と手を離し、ふらっと店内のどこかへ行ってしまう。
彼の方から、そらくんにおやつでもと言ってきたのに、一緒に選んでもらえない事に寂しさを感じていたら、会計を終わらせたレジ袋を手に持って彼は戻って来た。
「決まったか?」
「あっ、うん…もう会計したんだ。半分出したのに」
「大した金額じゃないから気にするな。ほら、これと一緒に買って来い」
高そうな猫缶とおやつを選んだ彼にお金を渡される。