罪作りな彼は求愛方法を間違えている
先程のキスもそんな感じでしてきたのかと悲しくて、つい、高橋さんを罵った。
「その口黙らせていい?」
と言うや否、キスされていた。
先程の触れたかわからないキスとは違い、唇の感触を味わうようにキスを仕掛けながら、こちらの反応を伺っている艶めく視線に射すくめられ指一本も動かせない。
次第に大胆になる彼は、唇を食んではチュッと音をたて唇を離し、そしてまた唇を食んでから甘く吐息をはいてペロリと唇を舐めたりと、余裕を持って仕掛けてくる。
だが、こちらはいっぱいいっぱいだ。
な、なんなんの?
この甘い行為は?
アワアワとしているのに、気持ちのよいキスに思考は奪われ、それ以上のキスを受け入れてしまう。
重ねている唇の間をノックする彼の舌に、自然と唇を開けば、すかさず口の中を侵され、翻弄され、甘く蕩ける体はくたりとして力が入らず、堕ちる体を必死にその場に繋ぎとめようと、キスを仕掛け翻弄する男の上着にしがみつくが、徐々に手は滑り落ちていく。
そして、とうとう、床に手をついた事で唇は離れてしまいキスはそこで終了。
全力疾走したように肩で息を吸ってる私の目の前で、彼は軽くジョギングした程度の呼吸の荒さで、自分の濡れた唇を舐めていた。