罪作りな彼は求愛方法を間違えている
「あーこの時間なら、コーヒーだけでいい。後で一緒に出かけよう。ついでに外でお昼も兼ねて一緒にランチしようか」
「……」
突然の申し出に答えられない私。
えっ、えっ、デートだったりする?
「なんだよ…俺と出かけけるのイヤなのか?」
背後からのバッグハグに甘さを感じ心臓がバクバクと速くなる。
「い、やじゃないよ。いつも会うのは夜で、コウ兄のお店だったから、なんか、ほら、お昼から出かけるのってデートみたいで…」
「みたいじゃない。デートだからな」
頭部にチュッとキスを落とし、ぽんぽんと頭を撫でた彼は、寝室に戻って服を着て出くると、洗面所へ。
はっきりとデートだと言われ、その間の私はというと気分は上々して舞い上がり浮かれていた。
乱れていた髪を直して戻って来た彼が私をみて笑った。
「なによ?」
「いや…千花と始めてのデートだから、嬉しくて」
思わせぶりな言葉は言うのに、肝心の欲しい言葉は今だに言ってくれないのはどうしてと、彼を見つめたが返事が返ってくることはなく、コーヒーの入ったマグカップを渡したら、ゴクゴクと飲み終わった彼に、チュッと唇に軽くキスされて、ほろ苦いコーヒーの香りが鼻先を漂い、なぜか照れてしまう。
「フッ、真っ赤…もっと凄いキスしたのにな。可愛い」