罪作りな彼は求愛方法を間違えている

ぎゅっとハグされ、唇にチュチュチュッとキスの嵐が起こる。

「もう…やめてよ」

「千花が可愛いい反応するのが悪い」

もうと、唇を尖らせ理由になってないと彼の胸を軽く叩いたら、楽しげに笑った彼は、後で迎えに来るといい帰って行った。

好きだとか愛してるの言葉はくれないのに、行動やセリフがとても甘いせいで、自分を見失いそうだ。

デートだからと言われても、はっきりしない私達の関係に名前をつけれないせいで行き詰まり、『あぁ〜』と叫んだ。すると、隠れていたそらくんは、驚いた表情で辺りを見回して部屋中を散策し高橋さんがいない事を確認すると、定位置で毛づくろいを始め、いつものツレないそらくんに戻っていた。

私は、そんなそらくんに寂しさを感じつつ、浴室に向かった。シャワーを浴びていたら昨夜の浴室での出来事が脳裏に浮かび、次々と余計な事が思い出される。特に彼がズボンの後ろのポケットに隠し持っていた避妊具が印象的だった。

コンビニに寄った際に、私の目を盗んで買ったそれをポケットに入れたままの素知らぬ顔、そんなそぶりを見せなかった彼の手慣れた感じに胸が騒つく。

恋愛経験豊富な彼の手腕にまんまとのせられた私のこれからの立ち位置は、どこなのだろう?
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