罪作りな彼は求愛方法を間違えている

その間、そらくんはだれ?だれ?と玄関まで一目散に駆けていき、玄関ドアの前で警戒態勢を整えて、私が来るのを待っていた。

玄関ドアを開ける前に、もう一度深呼吸してからそらくんを片腕に抱き、ドアを開ける。

「待たせたな」

普段見ていたスーツ姿と違い、キャメル色の薄手のサマーニットの裾から覗く白Tシャツを重ねて着て、黒のスキニーパンツ、腕には普段見ていた腕時計とは違うスポーツタイプの腕時計をしている。そしてナチュラルパーマをカジュアルにセットした彼は、年齢より若く見え、いつも以上にときめいてしまう。

カッコいー…

「んっ、どうした?」

見惚れて反応のない私の顔を覗く顔が、直ぐ目の前にあり焦った私は、彼の顔を手のひらで押した。

「…近い」

照れ隠しで伸ばした手の距離を、その手首を掴んだ彼は簡単にはらい、2人の距離を詰めてきて、驚いたそらくんは私の腕から飛び降りていく。

「ちょ、っと…」

彼の腕の中に優しく抱きしめられ、見上げた先は鼻先が触れ合う距離で、艶めく目で見つめられ、恋人達のような甘い雰囲気にドギマギして次の言葉を忘れてしまう。

「…後で塗り直す時間やるから」

そう言うなり、唇が塞がれいた。
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