罪作りな彼は求愛方法を間違えている
「康太、お前は知っていたんだよな⁈」
コウ兄は、顎に手を当て考える仕草をした。
そして…
「千花にひき会わせたのは俺だし、一緒に住むなら安心だと思ってな」
「はぁっ?お前のお墨付きなのか!」
ニヤッと笑ったコウ兄を見た高橋さんは、深い溜息を吐いた後、私の両肩を掴んでいた。
「そいつはお前を大事にしてくれてるのか?」
「一緒にいて癒されてるかな…」
なぜか、そこでコウ兄は爆笑しだし、奥へ引っ込んで行く。
そんなコウ兄の背を睨みつけた後、高橋さんは呟いた。
「癒される?」
「1人で一日中家にいて寂しいせいか必ず玄関まで迎えに来てくれるし、たまに甘えてくる仕草も可愛いいし…」
「…働いてない男なんてやめておけ」
私の言葉を彼は一喝するような声で遮った。
私の頭の中に⁇マークが浮かび、そして、やっと会話が噛み合ってない事に気がついた。
そして、コウ兄が笑っていた訳も。
半月前の寒く冷たい雨が降っていた夜に、店の勝手口の前で泥だらけでぐったりしている猫をコウ兄が見つけ慌てて私に連絡して来た事を思い出していたら…
「康太が認めても俺はそんな男認めないからな。女の家に転がり込むような男に、お前を幸せにできるとは思えない」