転生に失敗した俺!!
だが、湖の主の鱗が固く刃が通らない。

たちまち冒険者たちの攻撃が弾かれてしまう。

湖の主が大きく尻尾を振り周りの冒険者を凪ぎ払う。
地上のシスター達の援護が欲しい所だが冒険者一人一人をシスター一人一人でリーフライの呪文で飛ばし、シスターアルバは全員を魔法のリフレクションバリアで守っている。

その間、アルベルト教は冒険者を信じ封印の呪文を唱える。

冒険者達もなんとかしなければならないが、いくら攻撃しても傷一つつかない。
1人の冒険者が閃いた様に言う

「目だ!!目を狙え!!眼球なら刃が通る!!視界も奪うことも可能だ!!」

全員それだたと言わんばかりに攻撃にかかる!!

次の瞬間、氷っていたはずの湖の水が氷を割って水の渦を作り冒険者達を攻撃してきた。
思わずシスターアルバが驚きを隠せない。

「なんですって…!!」

冒険者達が水の渦に飲み込まれ地面に放り出された

「「「「「うあーーーーーーーーー」」」」」

シスター達の魔法も切れた。

一直線にシスター達とアルベルト教の元に降下してくる湖の主。

リフレクションバリアが湖の主の攻撃でヒビが入る。
シスターアルバが苦しそうな顔で耐える。
それを見かねたシスター達がアルバと一緒にリフレクションバリアをかける。

二重にかけてもいつまで持つか分からない。
シスター達はアルバと違い、魔法が使えても魔力はアルバ程なく体力の消耗が激しい。

アルベルト教も急いではいるが魔力を溜めきらなければ封印が出来ない。
まさか手練れの冒険者達がこんなあっさりやられるとは思わなかったのだ。

その分魔力を溜めなければならないが、封印出来るか出来ないかがギリギリの所である。

リフレクションバリアがミシミシと音を立てて崩れ始める。
湖の主が渾身の一撃を込めて勢いよく空に舞い急降下してきた。
アーシャが思わず弱音を漏らす。

「ダメだ…殺される…」

みな一斉に目をつむる…

………………………………………………………………

攻撃が来ない…………
シスター達が目を開けた。

動きを止めた湖の主。

「一体何が…」
アーシャが固唾を飲んで見守った瞬間、湖の主の背中から血渋きを上げて湖の主が倒れる。

血渋きをあげている背中から一本の刀が飛び出し、それに続いて体が出てきた。
その姿真っ赤な鮮血に染まった鬼。髪は銀色の長い髪の毛。刀を持っている腕が見たことのない化け物の腕をしている。

そこにいた皆がその鬼の姿に声が出ず見つめる。

鬼が背中から飛び降り真っ直ぐこちらに歩いてくる。
アルベルト教がすかさず指示を出す。

「いかん、離れるんじゃ!!」

倒れていた湖の主が震えながら起き上がり、鬼に向かい喰らい尽くそうとした

が、刀を持った左腕一本で湖の主の鼻先を抑え、片腕で巨体を飛ばした。

また振り向きシスター達の元に歩き出す。
なぜかシスターアーシャの方へ歩きだす。

「え…私…なんで、あ、あのちょっと、私は…」

そのままアーシャの横を通りすぎ岸辺の木の影に置いてあったアーシャの木の実とロザリオのかごを手に取りアーシャに渡す。

「…これ、私の…」

鬼が口を開いた。

「ロザリオ…大事な物なのだろう…」

「…………あ、ありがとう……」

キュアッシャャャーーーーーーーー
湖の主が雄叫びをあげる。

鬼も刀を構える。

アルベルト教が驚きを隠せず言葉が走る

「な、なぜだ、その姿、貴様も魔物じゃろう、、なぜワシ達を守る!?お前はいったいなんなんじゃ?!」

一瞬空気が凍る

「…勘違いをするな…俺は、木の実を食べた分の借りを果たす。」

…何を言っているのか分からないと言う表情が隠しきれない。
アーシャはハッと自分のかごの中身を開けた。

拾った木の実が無い事に気づいた。

「ッ!!!あなた、まさか!!?」


「俺は"引きニート"だ…!!」



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