月の光に魅せられて
その後、身支度を整え朝食をとったアリアは
期待に胸を膨らませ、リリーと共に父の書斎にきていた。
「 お父様?入ってもいいですか? 」
「 アリアか、はやく入っておいで 」
木目の際立つ豪華な扉の向こうから
優しげな低い声が返ってくる。
中に入れば
温厚そうな一人の男性が
アリアを愛おしげに見つめる。
「 お父様、ご機嫌いかがですか?
今回の舞踏会のことでお話しがあると聞き、参りました 」
スカートの裾を持ち上げ膝を折る娘に
「 そんな堅苦しい挨拶はやめてくれ、
座って話そうじゃないか 」
木目を基調としたこの部屋は
仕事がはかどるようにと落ち着いた色合いになっている。
2人は濃い茶色のシックなソファーに腰を沈めた。