月の光に魅せられて
物心ついた時から周りの大人たちは
小さな子供であるはずの自分に頭を下げ、
胸の内にある野心を隠し、微笑み近づいてきた。
未来の国王となる第1王子として
それが当たり前だと思い順応してきたが
目の前にいるのは汚れなき瞳の少女だ。
小さな少女にとっては
このような社交の場は居心地の悪いものだろう。
「 そうだね…。僕もこういう場所は好きじゃないよ。
お友達がいないなら僕を初めての友達にしてくれる?
僕はレイ。君の名前は? 」
「 ………アリア…アリア・グロスタです!
レイは、お友達になってくれるの? 」
小さな唇から出た声は先ほどよりも
明るく、透き通る声をしていた。
レイは微笑み、頷くと
アリアは嬉しそうに顔を輝かせ
その顔に大輪の花を咲かせる。
レイはアリアの純粋な笑みに心が温かくなり
一瞬で心を奪われた。